この映画に出会ったのは「ひょんな事」がきっかけだった。先月30日の朝刊ラ・テ欄の片隅に
『 「映画」ヤングゼネレーション(フジ=深夜2・0)79年アメリカ。デニス・クリストファー。高校卒業後、当てもなく毎日を過ごす若者達が、自分達を見下す地元の大学生に対抗し、大学主催の自転車レースに挑戦する。ピーター・イエーツ監督、字幕。 』
と小さく書かれていた。「自転車レース」、「ピーター・イエーツ」この2つがキーワードとなり「観たい」と思い、早速古いビデオデッキ(アナログ)に録画予約をしたのだった。
「自転車レース」については説明が要らないだろう。何せここ数年は自転車を頼りに生きているようなものなので、「シャカリキ」などという邦画まで(以前なら決して観なかっただろう)観てしまったくらいだ。
「ピーター・イエーツ」、大好きな「ブリット」「ジョンとメリー」の監督さんだ。「ブリット」はあのスティーブ・マクイーンがムスタングでサンフランシスコの坂道をジャンプしながら疾走する伝説的なシーンで有名だが、「ジョンとメリー」は多分知らない方が多いと思う。ダスティン・ホフマンとミア・ファーローのある種の青春映画で、一晩一緒に過ごした男女がその翌日いろいろあって、最後に「ボクはジョンだ」「私はメリーよ」と名前を告げ合うという、当時「結構いいじゃん」と思った映画だった。要するに私が多少なりとも観たくなる監督さんだという事だった。
昨晩遅く観ました。何しろラ・テ欄以上の知識を持たずに観たので、それ程期待はしていなかったが、なんと、これが「大傑作」。(ただ私が知らなかっただけなのだが)
私が好きな映画の要素がずっしりと詰まっているのだ。第一に「父子モノ」、私が唯一泣けるのがこれだ。「エデンの東」もそうだ。本編ではお母さん役の女優さんもまた良い。
そして第二に「青少年モノ」、「ラスト・ショー」「ビッグ・ウェンズデー」がそうだ。必ず何人かのグループで登場するのがお約束、そして情けなくなるほどにブザマで哀しい。
最後に「趣味モノ」、本編の場合は「自転車」。私は「自転車レース」の世界とは無縁だが、それでもロードレーサーに乗った「イタリア狂い」のにいちゃん(飼い猫に「フェリーニ」という名前を付けているのもご愛嬌)が、トラックの後ろに付いて時速40マイル、50マイル、60マイルとスピードを上げていき、トラックの運ちゃんが左手を窓外に突き出し速度を教えてやる場面には興奮をしたし(その運ちゃんはスピード違反でパトカーに捕まる)、レースシーンは「ブリット」を思わせるワクワク感がいっぱいだし、レースに備えてホイールの「振れ取り」でニップル回しをいじっているシーンには納得させられる。きっと、「自転車車体趣味」の人が本編を観たら、70年代のロードレーサー・そのパーツなど、きっと興味は尽きないと思う。
後で調べてみたら(偉そうに)「感動の映画ベスト100」[2006年米国映画協会(AFI)]で何と第8位にランキングされていた。因みに14位「戦場に架ける橋」、17位「カッコーの巣の上で」、30位「アラビアのロレンス」、32位「カサブランカ」…、どうです!驚くではありませんか。もっとも、どんな基準で、どんな人達が投票したのか全くわからないが、とにかく歴代の名作を抑えての8位というのには驚いた。恐らく日本ではこのような結果には絶対にならないだろう。「自転車文化の歴史の差」大きく影響していることは間違いない。これは「自動車文化」に就いてもいえるのだが省略。
残念な事に、日本ではビデオ、DVDは発売されていないようだ。
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