2010年8月26日木曜日

12日目 6月27日(日) 晴れ

ハイライト!知床峠越え

距離83㌔(道内653㌔) 時間6:14 平均13.3㎞/h
 
04:00 起床 昨晩少しばかり緊張した。夜半テントのすぐ外で物音が聞こえ、それは何か大型の動物が歩いている気配を感じさせるのだ。とっさに、いつも寝る時枕元に置いてある大型のナイフを手にとり、ブレードを起こし、息を潜め耳を澄ませた。恐らく鹿だろうと思いながらも熊だったらどうしよう、こんなテントはひとたまりもないな、もっと刃渡りの大きいナイフを持って来るんだったなどと気を揉んでいるうちに、それは遠ざかった。怖さから外に顔を出して正体を確かめる事さえ出来なかった。
 
それでも、その後は熟睡できた。
実は当初の予定では、ここ知床で連泊して、観光船で岬の先端まで行こうかとか、知床五湖を巡ろうかといろいろなプランを考えていたのだが、何故か急にその意欲がなくなってきた。時間は十分にあるのだが、何かに追い立てられているような気分なのだ。それだけ738㍍の峠越えを早く済ませたかったという事だろうか。                                
                           
05:30 キャンプ場出発                                                     
いったん宇登呂の街まで下り、国道R334に戻り峠を目指すと、いきなりかなりの登りが始まる。5㌔程で「知床自然センター」が見えてくる。半島横断道路は実質ここから始まる。また、ここから知床五湖やカムイワッカの湯へのツアーが出るのだが、横目で見ながら横断にかかる。上の写真は途中のプユニ岬付近から宇登呂の街を見下ろしたもの。もう相当登ってきている。センターから峠までは11㌔だ。


密かに全行程漕ぎ上がろうとは思っていたが、最後の2㌔くらいで断念した。道はよく整備されているし、車の通りも少ない。野生の親子鹿には出会えたし、おまけに残雪まで見られたのだから環境としては申し分ない。それに上天気だ。しかし最後の最後になって、目の前に数百㍍上まで道がウネウネと上がって行く様を見上げた時、体力と気力が尽きてしまったようだ。
09:00 知床峠着 16.7㌔ 峠の駐車場には3台の観光バスが停まっていたが10分程度で全て出て行ったしまい、少しの間だが峠を独り占めした。写真の山が羅臼岳だ。汗がとめどなく滴り落ちて止まらず、出発時に買ったアクエリアスも底をついた。(もちろん普通の水は別途2㍑所持)最後は歩いたにせよ、観光客からは感嘆の目で見られ、それなりに達成感に浸りながら雄大な景色を満喫する。これからは根室海峡側の羅臼へ向かってのお約束の快適ダウンヒルが待っている。ここで、今回北海道で唯一回だけだったヘルメットを被る。
09:30 峠出発 羅臼までアッという間だった。登りの辛さの反動のように殆んどノーブレーキで九十九折の下りを楽しんだ。この時の最高速度が56㎞/hだった。本当なら途中の景色などを堪能しながら下れば良いものを、とも思うのだが、そこには自転車乗りの悲しい性が存在するのだ。下りではなるべくブレーキをかけたくないのだ。せっかく足で稼いで貯め込んだ「位置のエネルギー」は全て「速度」に変換したいのだ。それを減速というブレーキ摩擦や熱エネルギーなどと換えたくないのだ。結局50㎞/h近い速度になり、前方の道路上に神経を集中する余り、全体の風景の記憶があいまいになるのだ。だからいまでも耳元を過ぎる風のサーという音の印象は残っていても、景色のそれは殆んど残っていない。
                                                 
10:15 羅臼着 34.3㌔ 到着後最初にしたことは、自販機の500ccミルクティの一気飲み。羅臼は宇登呂ほどは賑っていない。知床への裏口という地位のようだ。天候さえ良ければ、この辺りからは国後島が直ぐそばに見えるそうだが、生憎と雲が低くなっており、殆んどそれと区別がつかない。
                                            
街の食堂でラーメンと昆布を巻いたおにぎりの昼食をいただき、本日の宿泊地を50㌔程先の標津(シベツ)に決める。
           
11:30 羅臼出発 難関をクリヤした安堵感から、残りは「おまけ」のような感じになり、のんびりと進む。国道R335を根室海峡を左に見ながら南下する。道は走りやすいが相変らず国後島は見えない。
                                                         
15:00 標津市街地着 80㌔くらい 街には着いたが、なかなか宿泊先が決まらない。予約というものをしない方が悪いのかもしれないが、こういう事態には慣れている。道すがらの看板で名前を見かけた旅館は対応が悪くこちらからお断り、二軒目声をかけても人が出てこない、結局街外れまで来てしまい、マップルにも出ている「国民宿舎ホテル楠」に投宿。私の感覚では料金高目(¥8800)だが、料理が抜群に美味しかったので何とか納得。だが、ここも室内禁煙。 
                                        
虫刺されの後遺症だろうか、左足首が異様に腫れてきている。悪化しなければ良いのだが…。

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